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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第10話 農耕と狩猟

第10話 農耕と狩猟

1122-01.jpg なぜ日本人はお正月に鏡餅を神棚にお供えするのでしょう。日本人にとって「米」は「命」だからです。

 「楽市楽座」という戦国時代の話が、現代日本でも規制緩和の是非という議論と共通するように、歴史は繰り返されるのです。歴史を知ること、歴史から学ぶことの必要性は、歴史が単なる昔話ではなく、現代に生きる私達にとって極めて具体的な参考資料になるからです。歴史を調べていて痛感するのは、人類の歴史の中で、変わる部分と、変わらない部分と、二つの異なった側面があることです。歴史の変遷の中で何が変化し、何が不変なのかを知ることは、人間の、人間が形成する社会の本質を考える上で、とても重要です。
 例えば社会の在り方、存在形態です。弥生時代、日本で水稲耕作が始まりました。人類にとって食料の確保が最大の課題であることは、人類の誕生以来、今日に至るまで、まさに永遠の課題です。日本で水稲耕作が始まったことは食料の安定的確保の上で画期的でした。日本が水稲耕作を基本とする農耕社会になり、日本人が定住型農耕民族になったことは、日本という国家の社会形態、日本人という民族の意識形態を決定付けました。勿論、漁労、狩猟によって食料を確保する日本人も多く在りましたが、日本人は概ね狩猟牧畜民族ではありませんでした。
 狩猟牧畜は移動型であり、単独行動です。個人の判断、技量が収穫を決定します。その結果、狩猟牧畜民族においては個人主義が人格形成の基本となります。他方、定住型農耕社会である日本では、多数の人間が共同で作業することが必須な条件になります。さらに多数の人間を統率する指導者の指示を遵守することが要求されます。構成員の独断、独走は厳禁なのです。農耕民族である日本人は、絶えず共同歩調を原則とし、良く言えば、「和をもって尊し」となし、悪く言えば、「長いものには巻かれる」という気質を醸成したのです。
三木 久雄
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