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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第20話 なぜ、そのとき歴史は動くのか

第20話 なぜ、そのとき歴史は動くのか

1181-01.jpg 平和ボケって非難されても、やっぱり世の中、平和でなくっちゃ。

 私が商売人になって40年が経ちましたが、その間、世の中は驚くほど激変しました。今、私のような零細小売業者が置かれた状況は事の他厳しいですが、その理由の一つは、社会が大きく変った、時代が激しく動いたからです。社会の変化、時代の激動に対応できなければ、世の中から退場せざるを得ないのです。では、なぜ社会が変り、時代が動くのでしょう。それは、すべての人間が抱く、より安らかに、健やかに、より豊かな暮らしを享受したいという切なる願望が社会を変え、時代を動かすからです。  人間が生きていくためには、住む所、働く所が不可欠です。「所」とは土地に他なりません。人間は、土地の上に立つことでしか生きていけない、豊かな暮らしには土地が何より大切なのです。だから土地の所有権、使用権が保障されることが重要で、いつの時代にあっても、より強固に土地の所有権、使用権を保障する統治機構が要求されのです。  ある時代、とりわけ古代、中世には、土地の所有権、使用権を保障する統治機構は宗教的権威に依拠していました。近世になると次第に武力的示威が統治機構を構築し、武家政権が誕生しました。しかし武を以って武を制することは、絶え間ない戦乱を招きます。戦乱の世は、敗者は勿論、勝者もまた得る物よりも失う物が大きくなります。徳川家康が天下一統を成し遂げて以来、日本国内で、日本人同士が血で血を洗う戦争が回避されたのはその故です。  今、私たちが生きている民主主義の時代は、土地の所有権、使用権の確定を、協議の上に合意を形成して保障する社会です。土地の所有権、使用権を争う当事者が、協議を重ねて合意に達しようと努力する。紛争当事者の両者とも、失う物よりも得る物が大からんとするためなのです。
三木 久雄
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