神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第22話 家族主義的経営

第22話 家族主義的経営

1192-01.jpg 「会社」って元来、「社会」的存在なのに「ウチの会社は・・・」って平気で言うなんて、「会社」は身内なんですかね。

 戦後、日本の高度成長が、大企業から中小零細企業に至るまで、終身雇用、年功序列を最大の特徴とする家族主義的経営によってもたらされたことは、家族主義が日本社会に如何に適合していたかの最大の成果でありました。家族主義は、あたかも血縁集団であるかのような擬制形態を採ることによって、出生の家系、地域を異にする人間同士を、血の繋がった家族、親子、兄弟のように見なし合い、認め合うことによって、親近感を醸成し、所属集団の一致団結、意思統一を図り、組織内の協力、協調関係を高めることによって、最大の成果を期待できたのです。
 しかし、家族主義は、本来、思想信条を異にする他人同士を、肉親のように擬制することを強制するがゆえに、個人の権利、自由が損なわれる危険をはらんでいます。さらに、個人の思慮、判断より、団体の方針、決定が優先されるゆえに、個人の能力が十二分に発揮されず、大勢順応の「寄らば大樹の陰」、ぬるま湯にドップリつかった「親方日の丸」になりかねないのです。
 はからずも、今、日本社会の組織原理であった家族主義が崩壊しつつあります。地球規模での競争を余儀なくされる現代、家族主義経営の利点が消え、欠点が顕わになったのです。家族主義の崩壊は、現実の家族の崩壊に他なりません。家族の崩壊が、今や、家族で培われ、担われた倫理、道徳の崩壊を招いているのです。
三木 久雄
PCサイトを見る スマホサイトへ戻る