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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第28話 天変地異

第28話 天変地異

1223-01.jpg 2012年5月21日、日本各地で金環日食が観察されました。太陽が月に覆われて起こる現象です。次回の大天文ショーは、いつなのでしょう。

 素差戔鳴尊(スサノオノミコト)の乱暴狼藉に怒った天照大神(アマテラスオオミカミ)は、天岩戸(アマノイワト)に引き籠ってしまいます。天照大神(アマテラスオオミカミ)は太陽神ですから、洞窟に篭ってしまわれたら世の中真っ暗です。困り果てた八百万(ヤオヨロズ)の神々があの手この手で計略し、天宇受賣命(アメノウズメ)が岩戸の前で、胸や陰部まで肌けて踊るのを神々が興じて、哄笑する声を聞いた天照大神(アマテラスオオミカミ)が、一体全体、何が起こったのだと気になって岩戸を開けた途端、大力の天手力雄神(アメノタヂカラオ)が天照大神(アマテラスオオミカミ)を岩戸から引き出して、再び世の中明るくなったのです。
 天照大神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に隠れて世の中が闇になるという話は、「古事記」のクライマックスの一つですが、日食という自然現象の神話的表現で、世界中に類例があるそうです。地球や月の運行を常識として理解している現代人ならいざ知らず、古代人にとって、太陽が陰って消えてしまう日食が、どれほど恐怖や不安を与えたか測り知れません。天変地異の最たるものであったでしょう。
 日食という自然現象が古代人に恐怖や不安を与えたのは、定住型水稲耕作社会にあって、太陽の存在が極めて大きいからです。水稲耕作にあっては、燦燦と降り注ぐ太陽の光が稲の生育に不可欠なのです。太陽が消える、ということは本来、あってはならない。しかし、日食で太陽が消えてなくなるという現象を目撃して、再び太陽が輝きを取り戻すよう強く祈ったのです。
三木 久雄
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