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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第32話 日本とは一体どんな国なのか

第32話 日本とは一体どんな国なのか

1248.jpg 奈良時代、日本の歴史が「古事記」に編纂されたのと同じく、日本の地理が「風土記」に編纂されました。

 西暦300年代に全国統一を成し遂げた大和朝廷は、聖徳太子の親政、天智、天武天皇の大化の改新の遂行によってより強固な国家体制を実現し、奈良時代に入って、その功業を顕彰するために太安万侶(おおのやすまろ)に命じて日本の歴史を「古事記」に編纂し、全国各地の国司に命じて地理を調査させた報告書が「風土記」です。
 「風土記」には「天皇」が全国各地を巡幸して「国見」と呼ばれる国情視察をされる記述がしばしば見られます。その場合、必ず「天皇」は「あめのした しろしめしし すめらみこと」と書かれています。その意味するところは「天の下 知ろし召しし 天皇」でしょう。「万葉集」で柿本人麻呂が「おおきみは神にしあれば」と詠んだように、奈良時代、「天皇」とは、天上の神が天下に降り下り、現人神(あらひとがみ)として地上の統治者となられたと考えられていました。「天皇」を「すめらみこと」と読むのは、「天皇」が日本国の統治者であることを言い表すために、統治することを意味する「統べる(すべる)」を「みこと」に付与したのです。「みこと」とは「神子(みこ)」を意味し、また「命(みこと)」として命令を下す、「詔(みことのり)」を発する最高権力者であることを象徴しています。
 「天皇」が「天下」を「知ろし召す」とは、統治者として日本の「歴史」と「風土」を「知る」ことが極めて重要であることを意味しています。天智天皇、天武天皇によって律令制の国家体制が成立し、その後、大和朝廷の強大な権力をもって日本国中を完全掌握し、律令制の国家体制を確立した奈良時代初期にあって、日本の「歴史」を記述した「古事記」と、「風土」を記述した「風土記」が編纂されたことは、日本国家の統治が完遂されたことの闡明にほかならないのです。
三木 久雄
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