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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第33話 エネルギー革命

第33話 エネルギー革命

1254.jpg 一昨年、NHKの大河ドラマ「平清盛」で神戸が舞台になりましたが、平清盛が「福原京」に遷都したのは、兵庫の津(港)が「日宋貿易」という対中国貿易に最適な場所であるとの判断でした。

 平清盛が活躍した時代、「宋」が中国を支配していました。「宋」は「大唐国」と称せられた「唐」が崩壊した後、「五代十国」と呼ばれる小国家が乱立した中国を再統一した帝国です。「宋」の時代、中国は産業の大いなる発展期を迎えました。その活力源はエネルギー革命でした。中国だけではなく他の如何なる文明も、火力は樹木を燃焼させることによって得てきました。しかし伐採した樹木を燃料とすることは樹木の枯渇を招きます。
 「宋」の時代、地下に埋蔵された石炭を燃料とすることが発見されました。石炭は樹木より火力が強く、コークスに加工することによってさらに火力が増します。石炭の使用によって鉄の生産が拡大し、製鉄の技術革新によって農具、道具、武具をはじめとして、生活用品に鉄製品が広く使用されるようになって、あらゆる産業の生産拡大が可能になりました。石炭を燃料とするエネルギー革命は産業革命であったのです。
 国力の充実に伴って「宋」の社会体制は広大な国土の隅々にまで整備されました。全土は「州」という行政区に統治され、さらに「県」に分割されました。「州」、「県」の地方行政の長官は「州知事」、「県知事」と呼ばれました。行政の長たるものの第一の任務は当該地域を「知る事」だからです。日本の地方行政において、都知事、府知事、県知事と呼ばれていることに、今日に到るまで「宋」の影響の大なることを知るのです。
三木 久雄
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