2004年5月20日。こうべ元町は、130回目の誕生日を迎えました。明治7年(1868)の神戸開港のころ、全国からたくさんの人々が商機を求めて集まり、賑わいを呈しておりました。当時は、神戸を東西に貫く西国街道を挟むように11の町が散在していましたが、明治7年(1874)5月20日に、時の県令(県知事)神田孝平氏によって、「神戸の元の町に」との想いから『元町』と命名されました。以来130年にわたり、こうべ元町は世界に開かれた港町神戸にあって、海の向こうの新鮮な息吹を受け続け、「ハイカラ・ハイセンス」の代名詞として全国の皆さまに愛されてきました。 この記念すべき年に、縁あってニューヨーク在住の音楽家、池宮正信氏とニューヨーク・ラグタイム・オーケストラの皆さんをお迎えして130年記念コンサートを2004年5月21日に兵庫県の迎賓館・兵庫県公館(明治35年竣工・国指定有形文化財)で開催しました。また、この元町の愛唱歌「私の好きな元町(I Love motomachi)」は、このこうべ元町130年を記念する曲として2003年池宮正信氏に作詞作曲を依頼しました。皆さまに親しまれる元町に相応しい明るく楽しい曲として完成したこの「私の好きな元町」が、元町で、そして神戸でだけでなく、世界で口ずさまれる曲となっていくことを願っています。
作詞・作曲/池宮正信
演奏/ニューヨーク ラグタイム オーケストラ 歌/津本尚子

訪れる度、元町には他の日本の街とは異なる雰囲気を感じ、いったいこれは何だろうと思ったものです。品格があるのに高ぶらず、親しみがある。アジアや西欧諸国などの文化も加わり、多種多様な文化が交わる場所。私の長年住んでいる街ニューヨークにどこか似ているように思いました。移民たちがそれぞれの文化を守りつつも溶け合い特異な文化を作り上げてきた「メルティングポット(文化のるつぼ)」。これは私の大好きなガーシュウインがニューヨークの特徴を言い表した言葉です。元町とニューヨーク。歴史はまったく違いますが、広い世界に門戸を開き、人々を受け入れ、お互い尊敬しあいながら統合発展した文化、気風、雰囲気、どこか共通するように思えてなりません。お互いを受け入れ認め合うところから大人の付き合いが始まるように思います。それが自然にできる街、元町。人々に安らぎを与え、とっても居心地が良いのです。
「私の好きな元町!」、その言葉は住民の皆さんはもちろんのこと、この街を訪れる人々が心から思わず発する言葉だと思っています。
嬉しいこと、辛いこと、長い歴史の中にはたくさんの出来事があったと伺いました。震災はまだ記憶に新しいことです。どんな時でも人々を温かく見守り続けてきた街。人々と一緒に喜び、一緒に悲しんできたことでしょう。
元町商店街の皆様から元町の歌を作って欲しいとの依頼を頂いた時、今まで感じていた元町への想いが言葉として溢れ出ました。
街はそこに住む人々が作り上げていくものです。元町の皆さんがこの元町の文化、気風、雰囲気を守りつつも新たな発展を加えていかれますこと、益々生き心地、暮らし心地の良い街、愛と平和を世界に発信される街に育てていかれますことを心から信じ祈っています。

T
歩いてると心弾む(こころはずむ)、何か素敵な予感
ショーウインド溢れる光
きらり、優しい人々の笑顔。
 元町、元町、希望の風ふく
 元町、元町、ハートが伝わる
 私の好きな街、元町、安らぎがここに

U
何故か(なぜか)懐かしい所、不思議な空間
世界とつながるこの街
どこか、ひと味違う街模様
 元町、元町、人々が集う(つどう)
 元町、元町、幸せ求めて
 私の好きな街、元町、世界にはばたけ

V
情緒深くてハイカラで、長い歴史を誇る
戦争、震災、辛いとき
いつも、助け合って乗り越えた
 元町、元町、愛があふれる
 元町、元町、地球に平和を
 私の好きな街、元町、未来に輝け

1988年日航ホテル新人ボーカルのオーディションで優勝して以来、関西の主要ホテル、ライブハウスで活躍。
94年に渡米してからは、ニューヨークのジャズクラブ等で活動。
1993年に池宮正信がニューヨークのトップクラスのラグタイム、ジャズ奏者とクラシック奏者を集め結成。正統派のラグタイム オーケストラとしてアメリカで活躍している。