神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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実は元町商店街は、多くのおかみさんパワーで支えられています。そんな彼女たちにスポットライトを当てるのが「元町レディ-ス」で、今回は、5丁目「喫茶チェリー」の女主人・渡邊まゆみさんにご登場いただきます。還暦を超え、家事や育児に没頭した時もあったけれど、基本的には商売一筋。常に自分の足でしっかり立ってきた、掛け値無しの生身の姿に、力づけられる女性(男性)も多いはず。あっけらかんと、波瀾万丈の半生を語って下さいました。
今月は、5丁目「喫茶チェリー」渡邊まゆみさんをインタビューしました。

5丁目「喫茶チェリー」渡邊 まゆみさん

5丁目「喫茶チェリー」渡邊 まゆみさん

「喫茶チェリー」は。商店街の老舗の一つですね。

「店のオープンは昭和38年で55年の歴史がありますが、私が手伝い始めたのは、結婚したばかりの時で、そろそろ40年になります。当時は母と姉が元気で、私自身、ちょっとしたお手伝いのつもりで、あくまで家事や子育てを重視し、店の経営は独身の姉が中心でした。でも姉が42歳の若さで急死し、続いて母が病で倒れ、看病と商売、さらに家事・育児とすべてのことが、私1人の肩にかかってきたのです」

まさしく波瀾万丈ですね。

「夫がサラリーマンで、店の経営にはノータッチだったので、それこそ帳簿の付け方一つから勉強しました。母が倒れて17年になりますが、あっという間でしたね」

大変なご苦労をされた。

「私自身そうは思っていなくて、家事や介護のストレスを、仕事が解消してくれていました。商売が性に合っているのでしょうか。店がなかったら押しつぶされていたかもしれません。商売に100%の労力をかけるとしたら、介護が70、家事が60っていう感じで、バランスを取っていました。それに夫の収入中心に家計をやりくりしていましたから、気楽と言えば気楽でした。それが離婚とともに一変し、経済的自立を余儀なくされました」

あら、まあ。

「45歳の時でした。商売人とサラリーマンでは休みの日も異なり、まさしくすれ違い夫婦です。すでに長男は働いていましたが、長女がまだ学費が必要な時期で、かなり大変でした。さすがの私も病気になり、一昨年に半年ほど、お店休業せざるを得ない状況にも陥りました。こういうお店は常連客でもっているので、再開したときはかなりお客様が減りました。元町商店街も昔と比べ、かなり人通りが少なくなっているのも重なったのでしょう。でも後ろ向きのことを言っていたら、どんどんだめになる。商店街の力ではなく、店の魅力で集客しようと、お客様が入りやすい店となるよう工夫しました。コーヒーの味しかり、接客しかりです。大きな店やチェーン店にはない、チェリーならではの魅力ということでしょうか。今では、お客様が徐々に戻ってきて下さっています」

お客様は本当にありがたいですね。常に逆風に立ち向かって来られた原動力は。

「やはり商売が好きということに尽きるのではないでしょうか」

なるほど。今後はどうされますか?

「今では娘も結婚し、生活にもゆとりができてきました。最近娘が、店の手伝に来てくれていますので、助かっています。あくまで娘の意思を重視しますが、できたらうまくバトンタッチしたいと願っています」(2016.9)

人生はこれからです。まだまだ頑張って下さい。本当にありがとうございました。■インタビュー 岡田 ちとせ(2016.9)

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