明治7年5月20日、時の県令神田孝平によって名付けられた元町通、以来、140年を超える歴史をもつ「神戸元町商店街」。 移り変わる世の中の変化に柔軟に対応し、今も暖簾を守り続ける老舗の歴史を探訪。 今月は1番街ファミリア神戸元町本店さんをご紹介いたします。
1950年に神戸・三宮で誕生したファミリア。子供服メーカーとして、ディテールにこだわり子供にとっての着心地の良さや、子供本来のかわいらしさを追求するものづくりの伝統は守りながら、子供や子育てに対する環境変化に合わせて、トップブランドの座を守ってきた。 創業者が、10月スタートのNHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」のモデルになることもあり、注目が集まっている。 神戸元町本店店長の新谷尚子さんに話を聞いた。
神戸元町本店の誕生から教えて下さい。
オープンは創業から16年経過した1966年です。半世紀にわたりこの地で商売し、元町商店街には深いご縁を感じています。1972年に改装・拡張し、螺旋階段や店内に汽車が走るなどユニークな売場ができました。そして2003年に再改装し、現在に至っています。
それが現在のお店ですね。
『お母さんの気持ちになってつくりましょう』という製品コンセプト『愛情品質』に沿って、品質の良さを追求する企業スピリットを受け継いできました。その中で、2003年の店舗改装の際には、お母さんと子供の絆を最重視しました。高品質な商品を通じてだけではなく、もっと広い意味で、"わくわく"感じたり感動してもらうことで絆を強めていただく。むろんお母さんだけでなく、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんなど誰とご一緒でも同じことです。
具体的には。
子供たちが想像して感じて体験するスペースとして、3階にキッズアーカイブを作りました。『子供創造空間』と位置づけ、子供たちが自由に『創造』『体験』し、『感じる』ことができる、いわば子供部屋です。子供たちが自由に遊ぶことができる空間であり、誕生会や読み聞かせ、リトミックなどのイベントも開催しています。自らも学びたいというお母さんたちの意欲にも応え、お花やアロマのレッスンのほか、マタニティ向けセミナーなど、赤ちゃんが誕生する前から参加できるプログラムも用意しています。
物販だけでなく、まさに子供を中心に置いたライフスタイルの提案ですね。
そうですね。店内には出産準備用品コーナーを設け、これからパパやママになる方々の相談を受けています。また、お受験や面接に着ていく洋服やバッグなどについても、専門スタッフがアドバイスや提案をさせて頂いています。
まさしく少子高齢化時代。商売の知恵ですね。
少子化の時代ではありますが、いつの世も必ず赤ちゃんは産まれるものです。だからわれわれは、子供服の市場をいつの時代も、可能性に満ちていると考えています。そこで、お客様のライフスタイルに合わせ、商品だけでなく、サービスを提供する。もっと言えばお客様と一緒に考え、その方にとって最良の答えを導き出す。子育てには悩みがつきものですが、少子化・小家族化の今の時代はその傾向がより強いのではないでしょうか。当店では、そうしたお客様の心に、常に寄り添う店であり続けたいと願っています。(2016.05)