神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

2001年4月から12月に、毎日新聞に掲載紹介された元町周辺の歴史や出来事を紹介しています。

文明開化の象徴 すき焼きの洋館

文明開化の象徴 すき焼きの洋館

tenbyo-04.jpg 神戸のグルメといえば神戸ビーフ。ステーキやしゃぶしゃぶもいいが、日本人にとってもっともなじみの深い食べ方はすき焼きだろう。鹿子(霜降り)のやわらかな肉を熱々の鉄なべに入れ、ジュウッと音を立てて焦げたところへ砂糖をまぶし、酒としょうゆを加え、ねぎや豆腐を入れていく。元町では1873(明治6)年、6丁目にすき焼き店「月華亭」ができ、外国人客や日本人客でにぎわったという。
 江戸時代に肉はほとんど食べられていなかった。広まったのは開港した幕末から明治時代初めごろ。日本人の体格が欧米人に劣るのは肉を食べないせいだと考えた福沢諭吉が「肉は薬だ」と奨励したり、仮名垣魯文が小説「安愚楽鍋」の中で「牛なべ食わねば開化不進奴(ひらけぬやつ)」と断じるなど、肉は文明開化の象徴だった。
 元町通7丁目にある「大井肉店」は1871(明治4)年の創業。神戸ビーフは外国航路船に積まれ、おいしいとして評判が高まったという。大井肉店が1887年ごろに建てた牛肉販売とすき焼きの洋館は、愛知県の明治村に保存されている。

◆元町点描4回目 2001年4月14日
毎日新聞掲載記事の転載
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