神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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活気のある街は女性が輝いている!
ピチピチ看板娘、頼れる女将さん、お店の顔のおばあちゃん、商店街を支える魅力的な彼女たちをクローズアップした笑あり涙ありのハートフルストーリーです。
第一弾は、5丁目「はた珈琲店」の畑 加津子さんをインタビューしました。

5丁目「はた珈琲店」畑 加津子さん

5丁目「はた珈琲店」畑 加津子さん

まずは、簡単な自己紹介をお願いいたします。

店主の母親でございます。昭和7年生まれ、現在81歳です。

本当ですか? 全くそんなお歳には見えません...!! お元気ですし、お若いですね。

いえいえ、そんなこと言うていただいて有難うございます。やっぱり毎日お客さんと話したり、帳簿の計算したり、店の中を動いたりしてると知らず知らずに身体を動かして、良い運動になってるんかもね。

健康の秘訣はあるんですか?

そんなもの、ありません。体操も運動もしません。店のなかを歩くだけです(笑) 私の性分が基本的に商売好きというのが大きいんやと思います。毎日お店にいても全然、苦にならないんです。

商売人の鏡のようなご発言ですね! ちなみに商売を始められて何年ですか?

珈琲店は、今年で36年目になります。珈琲店を始めるまでは、主人が紳士服店を経営してましたから、帳簿をつけたりして支えてきました。私は電卓なんて、よう使いませんので全部そろばんで...私の場合、そろばんで計算するのが一番確実なんです。

そろばん...今や国宝級と言っても過言ではない計算方法ですよね。でも、そういうことが脳をいつまでも若く保つ秘訣なのかも知れませんね。ところで珈琲店を始められたきっかけは何だったんですか?

36年前頃に、大手の紳士服チェーン店が神戸にも多く進出してきました。その影響かはわかりませんが、主人の店も経営が厳しい状況になってきました。そうしたら、主人に「いつまで、俺のスネかじっとんや」と冗談まじりに言われまして...(笑) 私の気性から、そんなこと言われたら悔しいからね(笑) 何か始めようと思った時に珈琲が思いついたんです。私の父親は貿易商だったので、幼少の頃から珈琲には馴染みがありました。それこそ戦時中は飲めませんでしたけど、戦前から自宅にはいつも珈琲の香りが漂っておりました。そこで、「よし、珈琲店を始めよう」と思ったんです。主人には、「珈琲なんかで腹ふくれるか。うどん屋にしよう」と言われましたが、そこは譲りませんでしたわ。それで紳士服の2階を珈琲店にしたんです。 その当時、元町駅の裏に喫茶学校というのがありましてね、UCCから講師がきて教えてくれたんです。そこへ通いました。好きこそ物の上手なれ、と言いますか...全ては、珈琲と商売が好きだから始められたことやと思います。主人とは、夫婦というよりも良い意味で戦友という感じでしたね。紳士服だけの時代は、子育てしながら、帳簿つけて、店が忙しい時は接客もして...と1日中走り回ってました。当時、息子が大学4回生で、あまり学校へ出向かなくて済んだので、店を手伝ってもらいながら、私も息子に支えてもらいました。震災後、主人が亡くなり、紳士服を閉店して1階も珈琲店に改装しました。私は、洋服屋なんか、ようしませんもん(笑) (インタビュー中もひっきりなくお客様が出入りされる度に、加津子さんがレジへ行き、お客様と会話されていました) こういうたわいもない日常会話が楽しいでしょ? 家で黙ってテレビ見てるより元気になれるんです。

たしかに誰かと会話するということは、大切ですよね。会話するためには、脳も使うし、気も使いますもんね。話は変わりますけど、息子さんと毎日一緒にお店に立たれてケンカなどはしないんですか?

そりゃケンカもします。親子ですしね。だけど、息子が支えてくれてる部分はたくさんあります。珈琲豆を煎る技術を勉強して、自家焙煎を始めたのは息子の力ですしね。私だけやったら、そこまで出来てないと思います。それはやっぱり息子のおかげです。

逆にお母さんが息子さんを支えてあげてることもありますよね?

どうでしょうか...? お客さんには、「息子にこき使われてるねん~」と冗談でよく話しますけどね。でも、珈琲店を始めた当初から来てくださってる昔からのお客さんは、やっぱり私と話するために来てくれたりね。私に会いに来てくれるお客さんがいてくれてる間は、私も店に貢献できてるいうことやろね(笑) あとは、店の食器や什器は、私の趣味です。これも、無理矢理してるわけではなく、私が好きやから集めてるだけでね。季節毎にカップが変わったらお客さんも楽しいでしょ? 私は、好きなことしかできん性分なんやろね。

お母さん素晴らしいです。ご主人の時代も、息子さんの時代も、お母さんのその前向きな明るさと元気、決してでしゃばらずに気取らずに自然体で過ごされてることが、きっと一番の支えになってるんだと思います。本日は、お忙しい中ありがとうございました。

(2013.06)

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