神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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活気のある街は女性が輝いている!
ピチピチ看板娘、頼れる女将さん、お店の顔のおばあちゃん、商店街を支える魅力的な彼女たちをクローズアップした笑あり涙ありのハートフルストーリーです。
今月は、4丁目「SHIHO」の四宮 宣子さんをインタビューしました。

4丁目「SHIHO」四宮 宣子さん

4丁目「SHIHO」四宮 宣子さん

高級時計とジュエリー専門店の「SHIHO」社長夫人・四宮宣子さんは「あくまで主婦の立場で、お客様の方を向いて商売してきた」と、素人感覚をスタンスに置くが、ここにひかれるファンは多く、なかなかの商売人と見た。温かい笑顔でお店を支えてきた、宣子さんならではのノウハウを聞き、SHIHOの魅力を探った。

宣子さんの商売との関わりは。

「全く商売と関わりのない家庭で育ちましたから、商売のことはもとより、宝石や時計とも全く無縁の世界でした。結婚後しばらくは、子育てに明け暮れていましたが、夫が社長に就任すると同時に子供たちが成長して手が掛からなくなり、本格的に手伝い始めたのが商売のスタートです。その後は自然と商売の世界に浸り、時計にも興味を持ち始めました。長い歴史があるし、優れたブランドもある。デジタル全盛の昨今にあって、当店で扱うのはほとんどが手作りの機械式時計ですが、毎年新商品が誕生しており、興味は尽きません」

接客に関しては。

「一番楽しく、自分自身に合っている仕事です。お客様と対話し、好みがわかってから商品をおすすめする、アットホームな接客方法を好まれるお客様が多いのです。高額な商品だけに時間を掛けてじっくり選びたいのでしょう。こちらが商売を前面に出したら、お客様は引いてしまわれますよね。これは年配のお客様だけでなく、若い方も同じです。私にとってそれこそ息子や娘の世代ですから、子供と接するように気楽におしゃべりするためか、比較的若いお客様の比率が高いのが当店の特徴です」

デジタル世代の若者が、ですか。

「20代や30代の中にも、時計ファンはけっこう多いですよ。気楽に時計の話をしに来られ、ほしい商品に出会えば、たとえ高額でも、コツコツお金を貯めて購入される。どちらかというと男性の方が多く。しかもまじめな方が多いですね。一旦購入すると大切に使って下さり、嬉しい限りです。知識も豊富で、逆に教えて頂くことも多い。さらにお友達も紹介して下さるなど、本当によくして下さり、感謝しています」

宣子さんの魅力もありますね。

「日頃から誠意を持ってお客様と接することを心がけています。これは当店の姿勢でもあります。昭和13年に創業し75年の歴史を持ちますが、ひとえにお客様のおかげと、我が家に招くように歓待しています。だからこそ、気さくでアットホーム、くつろげる店だとご好評を頂いています。現に、購入前だけでなく、購入後もちょくちょく寄って下さる方が多いのです」

そのSHIHOで、取締役の宣子さんは、責任ある立場にいらっしゃる。

「夢中で商売をしていたら、いつのまにか責任ある立場に置かれていたという感じで、あくまで自然体です。常に主婦の立場で、商売よりお客様を大切にしてきたということでしょうか。もっとも最近では、数字のことも頭に浮かぶようにはなりましたが(笑)」

それこそ真の商売人。

「商売を通じて、成長させてもらいました。商売のことがわかってくるにつれ、与えられた仕事だけでなく、前向きにいろいろなことにチャレンジするようになってきた。時代に乗り遅れないよう、例えばネットやパソコンも使いこなさなくてはなりません。時計の国際展示会が、年に一度スイスで開催されていますが、毎年参加し、新しい情報を仕入れています。そうして商売が、だんだん楽しくなってきました」

生き方にも影響してきますよね。

「そうですね。学生時代の友人の中には、卒業後全く仕事をしなかった人も多くいますが、私とは違うなあと感じてしまいます。今後はリタイア後のことを考え、あれしよう、これしようと、楽しみになってきました」

そこまで考えておられるのですか。

「実は昨年1月、店にどろぼうが入り、かなりショックを受けました。夫と、これを機に店を閉めようかと話しましたが、娘に相談すると『歴史を止めるのは嫌』と、後を継いでくれることになりました。当時サラリーマンだった娘婿も会社を退職し、今は店を手伝ってくれています」

元町にも後継者のいないお店が多いと聞きますが、すばらしいですね。

「今まで夢中で走ってきましたが、今後は次世代にきちんと渡せるよう、サポートすることが使命と考えています。あとは娘夫婦が、自由に思うままに商売をすればいい。きっと、私たちができなかったこともやり遂げてくれると信じています。次回からスイスの展示会も参加してもらうつもりです」

ところで、携帯電話に頼って、時計を持たない方も増えたのでは。そういえば、時計屋さんも少なくなったような気がしますが

「時代の流れですね。元町商店街も、以前はたくさんあった時計屋さんが、今は当店を含め3軒だけになりました。だからこそ初めてのお客様の中には、ネットで調べて来られる方が多いのです。携帯電話は確かに便利で、私も手放せませんが、どんな時代でも腕時計は必要です。商談の時などで時間が気になって、腕時計を見るのは失礼ではありませんが、携帯電話を見るのはマナーに反するでしょう」

そのとおりです。宣子さんご自身も相当時計好きでいらっしゃる。

「もちろんです。小さいくせにコツコツ働いてくれる、けなげで可愛い存在ですね。これからはもっと、時計のすばらしさを伝えていきたいものです。若い人にも、大学生や社会人になるといった人生の節目・節目で、決して高級でなくても、その人のライフスタイルやファッションにあった時計をおすすめしたい。そして大切に使うことで、親から子へ、孫へと渡していって、歴史ができる。時間だけでなく、歴史も刻むのが時計なのです」

ありがとうございました。

(2013.07)

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