神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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元町の商人(あきんど)をじゅずつなぎ方式で知人の商人を紹介しています。

5丁目「菓子工房パオ・デ・ロ」オーナーシェフ 庄村 憲近さん

5丁目「菓子工房パオ・デ・ロ」オーナーシェフ 庄村 憲近さん

「菓子工房パオ・デ・ロ」の店内は、ショーケースのある販売コーナーと、イートインコーナー、さらにはガラス張りのオープンキッチンで構成され、職人さんがケーキを作っている姿を見ながら、お茶とケーキを楽しむことができるライブ感あふれる楽しい店だ。しかも某有名洋菓子店で修行した庄村さんが、腕によりをかけて焼いた洋菓子類は、ショートケーキやロールケーキ、シュークリーム、ババロアといった、誰もが好むオーソドックスなものをベースに、季節感を取り入れたり、ロールケーキの中にシュークリームを巻き込むといった意外な組み合わせで、目と舌を存分に楽しませてくれる。ゆえに、若い女性だけでなく、子供からお年寄りまで、さらには本を読みながら一人、じっくりお茶とケーキを楽しむ男性サラリーマンの姿も頻繁に見受けられる、顧客層の厚い店でもある」

店名がユニークですね。由来から教えてください。

「ポルトガル語の、カステラの原形「パオン・デ・ロー」からきています。我が国に初めて洋菓子が入ってきたのは、ポルトガルからですし、なんと言っても洋菓子の基本であると考えたためです」

お店の生い立ちを紹介してください。

「洋菓子の専門学校で学んだ私は、修行時代を経て12年前、地元の鈴蘭台で、現在と同じ『パオ・デ・ロ』の名前で独立しました。が、8年前に縁あって、元町に引っ越すことになりました。ケーキ激戦区の中央区だけにかなりの覚悟が必要でしたが、イートインコーナーを設置できるスペースが最大の魅力でした。やはり職人ですから、お客様が自分の作ったケーキをおいしそうに食べているところを、目の当たりにしたいという願いがあったのです」

というのは。

「単にケーキを作って販売するだけでは、わからないことがたくさんあります。たとえば、一度にケーキを8個食べた女性客がいらっしゃいました。こんなことも喫茶スペースがなければわからないことですよね(笑)。私たち職人が、ただ作るだけでは単なる作業になってしまう。常にお客様の反応を観察することで、その求めていることに敏感にならなくてはならないと思うのです。  それと、夏はアイスクリームやババロア、冬は温かいスフレ類など、冷たいものは冷たく、温かいものは温かいままお出しする、つまりテイクアウトに適さないデザートメニューも、イートインコーナーがあればこそ。今後どんどん拡大していきたい分野でもあります」

作るところが見えることは、客側にとって「顔が見える」安心にもつながる。

「そうです。だからお客様がケーキ作りを目の当たりにできるよう、ガラス張りのオープンキッチンとしました。それこそ、洋菓子を焼く音や、バターや卵が焼ける香ばしいにおいが店内に立ちこめるため、ガラス越しにキッチンをのぞき込むお客様もいらっしゃいます」

雰囲気的にはどんなお店を、と思われたのですか。

「とにかくお客様に、ケーキとお茶を楽しんでいただけることを第一に考えて、落ち着いた木目調をベースに、照明や調度品などで明るい雰囲気を出しています。さらに可能な限り席数を少なく空きスペースを広くして、ゆったりとくつろいでいただけることも考慮しました」

商品構成の特徴は。

「住宅地の鈴蘭台でスタートしただけに、トレンドに左右されないショートケーキやロールケーキ、クッキーなど、お年寄りから小さい子供さんまでが食べていただけるスタンダードな洋菓子類が中心です。そこに季節感を取り入れ、クリスマスやバレンタインデーなどのイベントにも合わせてアレンジし、お客様に飽きられないようにしています」

人気商品は。

「シュークリームとフルーツを巻き込んだ、ロールケーキが人気です。プレーンタイプ『ミュウ』とチョコレートタイプ『シオン』があり、どちらもシュー皮の香ばしさとフルーツたっぷりのボリューム感が人気の秘訣です。価格は380円。うちのケーキは300円台が中心で、コーヒーは360円。お茶とケーキでどんなに高くても1000円でおつりがくる、お客様に来ていただきやすい価格に設定しています」

ところで庄村さんにとって、元町らしさとは何ですか。

「三ノ宮や元町は、伝統的に洋菓子店が多く、お客様は皆、目も舌も肥えていらっしゃいます。だから新たな動きに対する反応も早く、すぐにチャレンジされる。だからこそイートインコーナーのメリットを感じています。 それとやはりおしゃれなイメージが強いため、これを商品に表現しようと、地元で活躍するフリーのイラストレーターに描いてもらった、オリジナルパッケージの焼き菓子をギフト商品として販売しています。そんなご縁で、栄町あたりに点在するギャラリーで個展を開く若いアーティストたちとの交流を深めています」

庄村さんの今後の夢は。

「元町商店街と一言で言っても1丁目から6丁目までと長く、三ノ宮センター街の延長線上である1丁目とこのあたりでは、雰囲気や商売環境も大きく異なります。一番残念なのは、1丁目から来られたお客様が、途中でUターンして帰ってしまわれること。商店街の端から端まで歩いていただけるよう、古き良き伝統の中にも斬新さを取り入れるようなアクションを、商店街挙げて起こしていかないと将来につながらない。個人的に何かお手伝いしたいと考えています。 それと、生産者の顔が見える食材を積極的に採用したり、アレルギー対応商品の開発などにもチャレンジしたいものです」(2012.02)

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