神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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元町の商人(あきんど)をじゅずつなぎ方式で知人の商人を紹介しています。

6丁目「COFFEE Norari&Kurari」 宮久保 忠広さん

6丁目「COFFEE Norari&Kurari」 宮久保 忠広さん

6丁目を歩いていると、COFFEE Norari&Kurariというユニークな名前の喫茶店の青い扉に出会う。その名の通り、お客様に「ほっこり、ゆっくり、のんびり」してもらいたいと願ってオープンしたこの店、キャラクターの猫の「Norari君」とカラスの「Kurari君」が宮沢賢治の童話の世界に案内してくれそうな、レトロで独特な雰囲気を醸し出している。

コーヒーのおいしさが有名ですが。

「宝塚の百合珈琲のスペシャリティコーヒーを使い、4分間蒸らした後、ネルで漉す漬浸(しんし)法で抽出しています。土鍋を使うのは当店のオリジナルで、冷めないように配慮してのことです。コーヒーが持つ本来の旨味と香りを十分に引き出した、しかも酸味や苦みが少ないまろやかな味わいが特徴です。コーヒーが苦手な方にも『ブラックで飲める』という声を頂いています。そういう方には中煎りの『のらりブレンド』、しっかりとしたこくと甘みを楽しみたい方には、深煎りの『くらりブレンド』と、好みに応じ2種類用意しています」

スペシャリティコーヒーとの出会いは。

「そもそも、大阪に事務所を構えインテリアデザインや店舗設計の仕事をしていました。若い頃にフランスへ遊びに行き、ふらっと入ったカフェが、年配の男性が経営している大人っぽくってとても良い感じの店でした。元来、お菓子作りやお料理が好きでしたから、自分の姿を重ね、歳を取ったらああなりたいと強いあこがれを持ちました。それでちょうど4~5年前、私自身、50歳を過ぎたこともあり、長年の夢である喫茶店をやりたいと本気で思うようになり、資金を貯め始めました。この間、いろいろなお店をめぐりながらじっくりプランを練り、一昨年11月に開店にこぎ着けました。あちらこちらコーヒーを飲み歩いた中で、最もおいしいと感じたのが百合珈琲です」

お洒落で落ち着いた内装は、プロならではですね。

「自分で図面を引き、可能な限り手作りしました。もともと古民家改造的なお店をやりたかったのですが、自宅に近い三ノ宮や花隈付近には全くないので、代わりに古くて趣のあるビルを探していました。ちょうど自転車で通った時に、台湾の人が建てたこのビルを見つけ、それこそぼろぼろの状態でしたが、よく見るとレトロなちょっと異国的な雰囲気でイメージ通りだったのです。給排水設備も相当ガタがきていて、内装工事が当初の予定より1ヶ月も伸び、廃材を捨てるのにも一苦労でしたが、工事中に床をはがすと、地下室があることに気づき、本当にラッキーでした」

このスペースもすてきですね。

「もちろん古くてぼろぼろでしたが、よくみると、壁には昭和初期のモザイクタイルが貼ってあり、そのまま内装にいかしました。元来、ギャラリースペースのようなものを作りたいと思っていましたから、のみの市やライブ、アート展などさまざまなイベントを開催しています。1階の延長でカフェスペースとしても活用しています」

家具や食器も全部違っていて、見ていて飽きない。本当に楽しいですね。

「レトロな雰囲気を出したかったので、ユーズドのものをネットオークションでひとつひとつ買い集めました。楽しかったけど、手間と配送費はかなりかかってしまいました。個性的でいろいろなテイストのものがありますが、全体としてぴたっとおさまっていると、好評です。女性が1人でも入りやすいお店というのが、店の雰囲気作りのコンセプトで、狙い通り8割方が女性のお客様、特に大人の方が多いです」

コーヒー以外メニューのこだわりは。

「たくさんのメニューはできませんが、バナナを入れてしっとり感を出したチョコレートケーキや、クリームチーズとバルメザンチーズを配合し、濃厚な味わいが特徴のチーズケーキが人気で、どちらも私が手作りしています。あと、白と赤2種類のみですが、ワインも提供しており、これに合うスモーク牡蛎のピザや、ランチで好評を頂いているマサラカレーなど、食事メニューも人気です。ランチメニューは、このカレーにサラダやプチデザートが付いたもののほか、最近週替わりランチも始め、豆腐ハンバーグやチキンピカタなどに、ご飯とスープ、サラダ、プチデザートが付いて、近隣で働くOLさんに人気です」

話は変わりますが、宮久保さんにとって、元町らしさとは。

「うーん、よくわかりませんが、元町6丁目は、空き店舗対策として、ものづくりをテーマに若手事業主を誘致しようと、毎年『クラフツアーケード』を開催するなど、アートの街として動き出しています。私も、若いアーティストを応援するイベントをどんどん企画し、街の活性化にも貢献したいですね」

ありがとうございました。

(2014.3)

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