神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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元町の商人(あきんど)をじゅずつなぎ方式で知人の商人を紹介しています。

3丁目「Kei」 藤本 寛子さん

3丁目「Kei」 藤本 寛子さん

3丁目の「Kei」は、本革製品を中心に履きやすさを第一に考えたおしゃれな婦人靴を販売している。女主人「藤本寛子」さんは、長田の靴メーカーに生まれ、靴とともに人生を歩んできた人。そんな藤本さんの靴に対する情熱とこだわりを聞いた。

お店をオープンしたのは。

「父と夫が経営する靴メーカーのアンテナショップとして、長田で15年間商売していましたが、震災で全壊し、この地に移ってきました。地震がなければずっと長田の住宅付き店舗にいたはずです。庶民的な街で周囲の人に助けられながら、結構商売もうまくいっていましたから。ちょっとした傷や色ムラなど、メーカーにはどうしてもアウトレット商品が発生し、これをお値打ち価格で販売しながら、お客様のニーズを吸い上げるというのが、当店の役割です」

並んでいる靴はどれも履きやすそうですね。

「すべて自社製品で、履きやすく足に優しい靴ばかりです。女性の足ってひとりひとり異なり、悩みを持っている人も多い。これを解決ししかもおしゃれ心を満たす靴がコンセプトです。靴の街ならではのノウハウが結集した長田で、4代続く老舗靴メーカーですから。腕のある職人さんを抱えクオリティにはかなり自信があります」

アウトレット品でなければ、かなり高価なのでは。

「当店以外で小売はしていません。ほとんどが百貨店やアパレルメーカーに卸して、そこそこの価格で販売されています。ここで販売するのは、使用するには差し障りがない程度のわけあり商品ばかりなので、かなりお求めやすい価格となっています。しかも高品質ですから、それこそ靴に精通したおしゃれ通なお客様ばかりです」

常連さんが多い。

「履きやすいだけでもなく、デザイン性だけでもない。両方兼ね備えた商品を求める欲張りな方が多く、一度購入されると何度も足を運んで下さり、エリアも神戸だけでなく、大阪や名古屋あたりから来て下さっています」

商売していて一番嬉しいことは。

「お客様が購入された靴を履いて来店して下さったり、真に喜んで下さっていることがわかった時です。何時間もかけて一足の靴を選ぶ。それこそ、今まで最適な靴はどこにもなく、ましな商品を買っていただけ。そんな方が当店で『人生を変える靴に出会えた』という言葉をいただいたこともあります。例えば諦めていたヒールのある靴も、当店のものなら大丈夫。逆に今まで似合わないと思っていた靴にトライして、意外な自分を発見して喜んで頂くこともあります」

接客で心がけておられることは。

「常にお客様目線でいることが大切ですね。さらに、あくまでお客様が主役ですから好みや意思を最優先し、決してこちらが強要しないよう心がけております」

お客様の年齢層は。

「最近、年配の方もおしゃれや流行に敏感になっているし、若い方も歩きやすさで靴を選ばれる方が増え、ボーダレスになったせいか、幅広い年齢層の方が来られます。それと、間口が狭く、奥行が長い店舗設計で、なかなか初めての方は入りにくい造りですが、表にお値打ち品を並べたり、店内も商品の並べ方を工夫したり試行錯誤を繰り返しています。こんなひとつひとつの積み重が成果を上げてきており、これも商売の楽しさの一つなのかもしれません」

藤本さんご自身もかなりの靴好きでいらっしゃる。

「生まれた時からそばに靴がありますから、当然ですが、それより私自身、外反母趾でしかもリウマチを患ったことがあり、靴で悩んでおられる方のお気持ちはよくわかっているつもりです。だからこそ納得して買っていただく。そして売って終わりではなく、アフターケアもきちんとする。母体が靴メーカーで職人もたくさんいますから、当店の強みでもあります」

むつかしいものですね。

「そうです。ひとりひとり足は異なるし、本革は履いているうちに伸びもする。すべての人に合う靴なんでありません。洋服なら丈を詰めるなどの対応がありますが、靴は無理です。それに足に合わない靴を履き続けると健康を害する恐れもあります。店の奥に座っていると、商店街を歩く人の姿がよく見えますが、自分に合った靴を履いて元気に歩いている人を見ると、当店の靴でなくても靴の仕事をする一人として、とても嬉しいものです」

藤本さんにとって元町らしさとは。

「昔はおしゃれな街、ハイカラな街で有名な元町でしたが、残念ながら今はお店も変わり、そうでなくなってきたように思えます。ただ南京町など観光スポットもあり遠方からのお客様が多く来てくださり、街に新陳代謝がある。特にUMIEがオープンしてから、三宮から神戸駅に人が流れるようになりました。元町3丁目はその中間地点として、新しいお客様も増え、こんなお店もあったのと、新たに発見していただけることもあり、嬉しい限りです」

最後に、藤本さんの今後の夢は。

「子育て真っ最中の娘が跡を継いでくれて、5代目と続くことに尽きます」(2014.10)

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