お商売を始められたのはいつ頃ですか？

平成4年から主人と共に開業しておりました。主人が8年前に亡くなり、私が跡を継いでおります。今年の夏にこちらへ移転し、今は軌道に乗ってきたという状況です。

ご主人は元々鍼灸をされていたのですか？

主人は、柔道整復師、鍼灸師として鍼灸整骨院を開業しておりました。私も手伝っておりましたので、この世界はかれこれ20年以上になります。主人の方針に沿う形でやってきたのですが、亡くなったことを機にシステムをずいぶん変更いたしました。女性専門ということに特化した治療を行うようになりました。

それはまた何故ですか？

私も主人を亡くしたことで落ちこみ、悩み、1年以上も外出できず、気持ちが晴れない日々が続き本当に苦しく辛かったです。同じような境遇の友人には、大体10年はかかるよ、と言われて。今でも、主人を忘れる日々はありませんが、7回忌を終えた頃から、少しずつ気持ちが前向きになれたというか...私が楽しく仕事をして、明るく生きていってほしいと主人は思っている、と考えられるようになりました。人はいつか死ぬとわかっていても、なかなか乗り越えられないです。主人が亡くなってから鍼灸の勉強の為に、上海中医薬大学へ留学いたしました。何かに集中していないと気がおかしくなるというか...何かに集中していることが支えになったというか。みなさん、それぞれさまざまな事情や悩みを抱えていらっしゃると思います。生きていて悩みのない人なんていないですから。だけど、やっぱり健康で明るく自分の自然治癒力を活性化させようと思うと、鍼灸は最適だと私は思います。ただ、現状の法律では女性専門ということは記載してはいけないんです。鍼灸というのは医療行為になりますので、男女差別してはいけないということになっているんです。エステなどは、女性専門ということを謳えるのですが、私達のような資格所持者というのは、医療行為になるので女性専門とはっきり謳ってしまうことは、おおっぴらにはできないのが心苦しいところではあります。

本場仕込みですね。

今でも年に1度はセミナーがあるので上海へ出かけます。やはり医療の世界も日々進化しているので勉強は欠かせないですね。

やはり鍼灸というのは中国が本場なんですね？

もちろんです。中国4000年の歴史とも言いますしね。でも、私としては美容鍼灸に関しては、日本と韓国が最先端だと感じております。昨今では、欧米の進化も目まぐるしく、逆に中国のほうが、西洋医学に熱心だったりします。私の専門は、不妊症や更年期障害などの女性疾患なんです。それに伴って、最近は鬱病などの精神疾患の方も非常に増えております。やはりストレス社会ですからね。本当に信じられないくらい多いです。どこか他の医療機関で診断を受けて、鬱病による頭痛、耳鳴り、めまいなどの症状を抱えて来られる患者様が多いです。あまりにもそういった症状を抱えていらっしゃる患者様が多いので、私も真剣に悩んでしまい、メンタルケアスペシャリストという資格を取得いたしました。患者様の症状だけを和らげるのではなくて、お話を聞きながら心のストレスも解放するお手伝いが少しでもできれば良いなと考えております。1人1～2時間かけてゆっくりとお話を聞きながら、オーダーメイドの診療をしております。

そうですね。カウンセリングや心療内科へ行くとなると、なんとなくとても敷居が高いというか...入りにくい雰囲気というか...自分で自分を病気だと認めてしまう行為に思えてしまったりして逆に気が重くなったりしますよね。最後に女性全般へ向けて、または元町商店街へ向けて一言。

元町には、のんびりとした上品な雰囲気があり、女性もキレイな方が多いなぁと思います。欲を言えば、女性に特化したようなイベントを開催しても、面白いのかな？と思ったりします。鍼灸に関しては、今、日本の針は世界一の技術を誇っております。髪の毛よりも細い針を使用しておりますので、ほとんど痛みもありません。身体の中から美しく、健康になりたい方は、いつでも気軽にいらしてください。

今回は、美容に関するお話もたくさん聞けて、私もとても勉強になりました。
ありがとうございました。

(2013.12)