神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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元町の商人(あきんど)をじゅずつなぎ方式で知人の商人を紹介しています。

5丁目「スターシップ」店主 酒井 寛さん

5丁目「スターシップ」店主 酒井 寛さん

名前の通り、船をイメージした店構えの「スターシップ」の創業は1965年。オムレツやシチューなど、"神戸の洋食"を提供し、50年以上の歴史を刻む、昭和の香り漂うレトロな雰囲気の店だ。

お店の歴史から教えて下さい。

「私の父は、写真店を営んでおり、後を継ぐことを考えていました。母が三越前で喫茶店を経営していたためか、飲食業に興味を持ち始め、この地でレストランをオープンしました。当時、大学を出たばかりの私は、本格的な料理を勉強したことがなかったため、一流店のコックさんを雇いました。それがかなり腕の良い料理人で、特にソース作りが得意だったため、ビーフシチューが看板料理となりました。その後彼の退職まで、私は側で見ながら、料理を一から学んでいきました」

オムレツの登場は。

「開店後7~8年経った頃でしょうか。私がシェフを務めるようになり、もう一つの看板料理を模索する中で、女性のお客様に好まれるオムレツを始めました。ところが、以外にも男性にオムレツ好きは多く、今では性別や年齢を超えて、多くの方にファンになっていただいています。常連さんが多いのが当店の特徴で、転勤などでしばらく疎遠になっても、またふらりと寄って下さる方が多いのです。当時オムレツと言えば、ホテルの朝食で食べるくらいでしたので、メーンディッシュに昇格させたのは、かなり早いほうだったと思います」

酒井さんご自身もオムレツ好きですか

「そうですね。子供の頃から卵料理が好きでした。でも大変なのは作り置きができないこと、一つ一つ作るしかないこと。例えばお客様が10人だと、1人3分かかるとして、最後の方には30分後にお出しすることになる、それで遅いと怒られたことも何度かあります(笑)」

店名の由来は。

「父の時代のスター写真館と、私自身、船が大好きなこともあり、スターシップと命名しました。だから外観だけでなく、店内にも舵を利用して作った照明器具や、帆船の模型や絵、羅針盤など船に関係するグッズを集めて飾っています、特に、キャビンを模した2階は、古い客船の中で食事しているみたいでおもしろいと、好評をいただいています」

お料理の特徴は。

「奇をてらうことなど何もない、当たり前の味ですが、一流の洋食を食べて来られた方には、とてもおいしいとお褒めの言葉を頂いています。オムレツは、ふわふわとろとろの半熟に仕上げ、しかもコクがあり、プレーンでも、何かほかの材料を入れているのではと時々聞かれますが、卵のみしか使用していません。それとオムレツの命"ソース"に関して、出来合いはほとんど使わず、一から手作りしています。材料はなるべく自然素材を使いたいので、サラダで余った野菜の切れ端や芯などをたっぷり煮込んでコクを出し、捨てるところはありません。じっくり2~3日かけて作り、牛乳パックに入れて冷凍し、毎日使う分だけ解凍して使っています。材料にもこだわり、特に玉ねぎにはこだわり、淡路産を直接買い付けるほか、シチューの肉も旨味の出るカタを使っています。タルタルソースに使うピクルスなども手作りです」

オムレツの種類が多いのも特徴ですね。

「厚切りベーコンをトッピングしたアメリカ風や野菜をたくさん使ったスペイン風、フライドポテトを入れたドイツ風、牛ヒレ肉を使った神戸風、さらにエビやサーモンなどのシーフードや、生ハム、チーズなど10種類を揃えています。使うソースも具材との相性を考え、基本的に肉類を使ったものにはデミグラスソース、シーフードはタルタルソース、チーズにはホワイトソースを使っています」

どれも工夫されていて、全部美味しそうですね。

「オムレツに関しては独学ですから、フランスの料理の本を見て自分で考えながら、徐々にメニューを増やしていきました。スープとパン(ライス)、サラダが付くオムレツセットが1,260円で、本格的な味わいの割にリーズナブルと、お褒めの言葉を頂いています。ほか、ビーフシチューやタンシチューなどシチューと両方楽しめるセットメニューもあり、一番の人気メニューです。ほか、オムライスやビーフやポークのカツレツなど、ソースが活きるメニューも多様に揃えており、お年寄りから子どもさんまで3世代、4世代で来店され、家族団らんのひとときを過ごして頂いています」

話は変わって、酒井さんにとって元町らしさとは。

「うーん、昔はハイカラで高級なイメージで"格式"というものがありましたが、震災を契機に、様相が変化しました。かつては、お店に店主の個性が表れていましたが、最近は同じような顔のお店が多い。時代の波でしょうが、残念なことです。私ももう、70歳を過ぎましたら、この店もうまく世代交代ができるよう願っています」(2014.4)

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