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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第29話 「ヤマタノオロチ」は「大河」だった

第29話 「ヤマタノオロチ」は「大河」だった

1229-01.jpg さて問題です。天照大神、素差戔鳴尊、高天原、天岩戸、八岐大蛇、一体、どう読むのでしょうか。正解は、アマテラスオオミカミ、スサノオノミコト、タカマガハラ、アマノイワト、ヤマタノオロチ、です。

 高天原(タカマガハラ)を追放された素差戔鳴尊(スサノオノミコト)は出雲の国の肥河(ひかわ)、現在の島根県斐伊川(ひいかわ)の川辺に降り立ちます。川上から箸が流れてきたので人がいると思い、川を上ってみると、美しい娘を間に老夫婦が泣いています。理由を尋ねると、毎年、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という八つの頭と八つの尾を持つ大蛇がやってきて、八人いた娘を食べてしまって、たった一人残された末娘の櫛名田比売(クシナダヒメ)も、このままでは食べられてしまうと嘆いていたのです。素差戔鳴尊(スサノオノミコト)は櫛名田比売(クシナダヒメ)を妻に娶ることを条件に八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治することを誓います。素差戔鳴尊(スサノオノミコト)は、やって来た八岐大蛇(ヤマタノオロチ)に大酒を飲ませ、酔いつぶれた隙に殺してしまい、首尾よく、櫛名田比売(クシナダヒメ)と結婚する、というハッピーエンドなお話です。
 「わんぱく王子の大蛇退治」というアニメーション映画にもなった超有名なお話ですが、実はこの話、古代における治水事業の話なのです。八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という凶悪、巨大な怪物は大雨が降ると氾濫し洪水を惹き起こす大河の象徴的擬物化なのです。大河の氾濫は水稲耕作の収穫を全滅させます。古代の人々は洪水を何より恐れたのです。大雨で溢れかえる河は、まるで暴れまくる大蛇のように思えたのでしょう。河の怒りを鎮めるために古代人は処女を人身御供に捧げたのです。素差戔鳴尊(スサノオノミコト)は先進地域であった大和から後進地域の出雲に行って治水事業を成し遂げたのです。その報奨として櫛名田比売(クシナダヒメ)を得た。櫛名田比売(クシナダヒメ)の名前の由来は、素差戔鳴尊(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)から櫛名田比売(クシナダヒメ)を守るために「櫛」に変身させたことによるのですが、「名田」とは、まさしく豊饒な田圃であり、素差戔鳴尊(スサノオノミコト)が治水事業で得たのは、出雲の支配権だったのです。
三木 久雄
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