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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第30話 水を制するものは国を制す

第30話 水を制するものは国を制す

1236-01.jpg 神話に出てくる神様はどこか人間臭い。人間臭いはずだよ、人間が神様になったのだから。

 大和朝廷が全国統一を成し遂げたのは、いち早く全国各地の有力氏族に抜きん出た経済基盤を打ち立てたからですが、その基礎をなすのは支配地域から収奪する農業生産物です。国力が農業生産高によって規定されるなら、支配体制の強化は何を措いても農業生産の向上にあります。
 素差戔鳴尊(スサノオノミコト)が神話の中で果たした役割は、農業生産において何が重要であるのかを表現することにあります。素差戔鳴尊(スサノオノミコト)が高天原(タカマガハラ)を追放されたのは「天つ罪」を犯したからですが、「天つ罪」とは水稲耕作に重要な灌漑設備の損壊、農耕作業の妨害、農耕家畜の殺傷、などでした。素差戔鳴尊(スサノオノミコト)の「天つ罪」に怒った天照大神(アマテラスオオミカミ)の天岩戸(あまのいわと)への引き篭もりは、農業生産に不可欠な太陽光の消滅である日食への恐怖の表現でした。
 農業生産に治水はきわめて重要です。水稲耕作にあって治水は死活問題だからです。素差戔鳴尊(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する話は、治水事業に成功した結果、処女を生贄にする悪習を断つことができた神話的表現であり、治水事業を完遂することによって支配権を拡大した大和朝廷の歴史的事実の神話的表現なのです。神話は歴史的事実そのものではありませんが、歴史的事実を正しく反映するものではあるのです。
三木 久雄
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