神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第9話 規制は是か非か

第9話 規制は是か非か

1117-01.jpg 「座」の廃止という戦国時代版規制緩和は、江戸時代になると「株仲間」が組織されて規制が再強化されることになります。一体全体、規制は必要なのか不要なのか、ハッキリしてくれ。

 突然ですが、話は過去から現代に変わります。神戸元町商店街も例外ではない全国各地の商店街、小売市場の衰退の原因は色々あるでしょうけれど、2000年に実施された「大規模小売店舗法」、通称「大店法」の廃止の影響は少なからずあったでしょう。零細小売業者の大半は家族経営です。営業日数、営業時間を限らないと身体が持ちません。定休日を取り、朝何時から夜何時までと営業時間を決めている。ところが方や極端な場合、年中無休、24時間営業が増えてくると、当然、客が奪われる。さらに大型店ならではの大量仕入れにより仕入れ価格の引き下げでの安売りで、当然、客が奪われる。
 消費者はより便利に、より安価で買物ができる。世のため人のための「大店法」の廃止だ、と単純に断定できるでしょうか。弊店が苦境に陥っている、という個人的な事情はさておき、零細小売業が大規模小売業に圧倒され、駆逐されていくことが、はたして消費者にとってバラ色の社会を実現することになるのでしょうか。
 高齢化社会を迎えた日本で、今、何が起きているでしょう。「買物難民」という言葉で表現される状況が現実化しつつあるのです。大型小売店は、その店舗規模の売場面積を確保するために、地代の安価な郊外に立地を求めます。消費者は車で買物に行くことが前提なのです。となると車を運転できない高齢者は買物にいけないのです。さらに歩いて行ける商店街や市場が大型小売店の進出のあおりでシャッター街に成り果ててしまった。高齢者は一体どこに買物に行けばよいのでしょう。「大規模小売店舗法」の廃止に代表される規制緩和が投げかける問題は、「楽市楽座」の史実に基づけば、「規制は是か非か」という古くて新しい難題なのです。
三木 久雄
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