神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

この企画は、かつての西国街道が「元町通」(明治7年)となり、商店街となった大正末期・昭和初期から、アーケードが完成する昭和28年までの「元町通」を紹介するコーナーです。

第20話 元町通の出版・書店史(2) 「キリスト教書店」

第20話 元町通の出版・書店史(2) 「キリスト教書店」

明治のヒトケタ時代には、居留地に近い今の1番街にあった「絵草紙屋」の店前では多色刷の木版印刷物が売られていました。明治6年(1873)には長崎から広まった「活字」を利用した『活版印刷』が神戸の地にも伝播し、湊川の土手上に神戸最初の西洋活版印刷所の「金子印刷所」が開業、その同年に、西国街道筋に建てられていた「キリスト教禁止」の高札が撤去されてキリスト教が黙認、元町通に大きな変化が起こりました。 今の5丁目と6丁目の境で、阪神の「西元町駅」の出入り口のある山側に、アメリカ人宣教師と親交のあった元三田藩の家臣家に生まれた鈴木清や同じく同藩出身の前田泰一がいちはやく聖書・キリスト教にちなむ書店を開店、この地でのひさびさの書店の開業となりました。翌明治7年4月には、その書店奥に日本人のための西日本初のプロテスタント教会の「摂津第一公会」(現・日本基督教団神戸教会)が誕生、書店経営の鈴木・前田らが中心に店前に『真理の話』の提灯を掲げ、キリスト教布教の西日本の拠点となりました。 「元町講義所」と俗に呼ばれ、西洋文化が移入する地では、また、持ち込まれた西洋楽器・オルガンの響きが元町通にもこぼれ聴こえ、独特の雰囲気をかもしだしました。まもなく神戸市内で最初のキリスト教の新聞『七一雑報』が創刊され、元町の教会でも販売され、活版印刷の普及の一翼を担いました。
安井裕二郎
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