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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第13話 ええじゃないか

第13話 ええじゃないか

1140-01.jpg 最近、このままで良いのか日本、という気持ちに駆られることが多々あります。このままでは日本は滅びるのではないか、と不安になるのです。

 江戸時代、ほぼ六十年周期で発生した「おかげまいり」は、幕藩体制の閉塞した社会から解放されたいという民衆の潜在的願望の表現でありましたが、幕末、より豊かな、より安らかな生活への希求、より良い社会への変革の要求が、「ええじゃないか」という大衆行動となりました。「ええじゃないか」とは、全国各地で「今年は世直りええじゃないか」などと連呼しながら町々を練り歩く民衆運動で、直接間接、江戸幕府が倒壊し、明治維新が成就する要因となりました。
 すべての社会体制は、成立期においては、その社会体制を招来する歴史的必然があります。しかし、如何なる社会体制も、崩壊する歴史的必然もまた、あるのです。新たな社会体制への移行を実現するのは、民衆の、より豊かな、より安らかな生活への希求、より良い社会への変革の要求です。時に無秩序な、暴発的な形態をとろうとも、その底に流れる切実な願望こそ、社会を変革する原動力なのです。
 しかし、世界史の悲劇もまた、群集心理による大衆行動によって惹き起こされました。社会不安のような負の因子が変革へのエネルギーとなる時、軽挙妄動、破壊活動になりがちなのです。すべての革命は、正の遺産と負の遺産を共に残します。まかり間違っても、再び、一億玉砕の道を誤ってはならないのです。
三木 久雄
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