神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第23話 個人主義は実力主義

第23話 個人主義は実力主義

1199-01.jpg コーヒーショップのオーナーはマスターです。なぜマスターなのかって?コーヒーを淹れる名人(マスター)だからです。

 家族主義の美点は、日本社会の美質でもありました。子は親を敬い慕い、親は子を慈しみ育む、兄弟相和す家族の情愛こそ相互扶助の倫理の根幹をなしていました。しかし核家族がさらに核分裂し家族関係がバラバラになった現在、日本社会は倫理、道徳の拠り所を失ったのです。私たちは、今、一人一人がしっかりとした自己を確立し、自立した人間同士の新たな関係を構築しなければなりません。自己と他者とが共に生きる道を探し求めなければなりません。共存共栄の英知こそ倫理、道徳なのですから。
 かつて日本では大工の棟梁は「親方」でした。ドイツでは「マイスター」です。「マイスター」は英語の「マスター」で日本語では「名人」です。その道の指導者が「親方」ではなく「マイスター」であることの意味するところは、技量に優れた個人こそ指導者足りうる、家族主義ではなく個人主義が社会の基本理念なのです。否応なく、是非もなく、家族主義から個人主義の社会に変わらざるをえなくなった現代の日本で、早急に確立されなければならないのは良質の個人主義なのです。
 個人主義とは、「私」の確立、「私」の尊重です。それは同時に、「私」と「私」が共生することを可能にする、「公」の確立、「公」の尊重が不可欠です。一人一人の「私」が、自らを磨き、高めることによって、もう一人の「私」と共に生きる力を養い、培うことが必要なのです。自立した「私」同士の間にこそ「公」が成立するのです。結論で言うと、自分の商売をシッカリやる、ということです。自分に出来ることを、自分にしか出来ないことを。
三木 久雄
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