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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第42話 なぜ灘のお酒は美味しいのか

第42話 なぜ灘のお酒は美味しいのか

1313.jpg私のお気に入りは「剣菱」です。言わずと知れた灘の生一本。
 
 人類の祖先が「衣食住」を「生産」するようになった当初は、生産物はすべて自家消費されました。それ以上の生産は不可能な自給自足の閉ざされた社会だったのです。しかしそういう時代であっても、その地域で入手不能なものは遠隔地域からもたらされていたのです。弥生時代、すでに、石器に使用された原石が、石器が出土した地域には存在しない場合があり、遠隔地域からもたらされたと考えられています。
 しかし次第に生産技術が向上するに伴い余剰生産物が生まれてくると、余剰生産物が他地域との間で物々交換されるようになりました。原初的な交換経済の誕生です。交換経済の発展は、自給自足の閉ざされた社会を、地域特産品が「流通」する開かれた社会に変革していったのです。
 ある時点から地域特産品が「生産」され「流通」するのは、地域特産品の美点、長所が他地域で評価されるからに他なりません。地域特産品の美点、長所が生まれる所以は、その地域の「風土」です。卑近な例で言うと、赤穂の塩は瀬戸内海の年間降雨量の少なさに起因し、灘の酒は六甲山系の上質な水に由来する。「風土」は当該地域に固有な地域的特性であるが故に、他の地域とは代替不能な個性を持っているのです。 
三木 久雄

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