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「商鑑」とは造語です。「あきないかがみ」と読みます。「商(あきない)」とは商売で、「鑑(かがみ)」とは鑑(かんが)みる、すなわち考えることなので、「商鑑」とは商売を考えるという意味です。三木 久雄さんが「鏡」に映して歴史を考えるという趣旨で掲載しています。

第5話 商売の始まり

第5話 商売の始まり

1089-01.jpg  私たち商人(あきんど)の祖先はいつどこで生まれたのでしょう。商売人がなぜどのように誕生したのかを「商鑑(あきないかがみ)」に照らして調べてみると商売とは何かが見えてきます。

 古代中国で売ることと買うことが同じ行為、「買(ばい)」と見做されていたのは、商売の起源が物々交換だったからです。不要なモノを提供し、必要なモノを入手する。モノとモノとの交換が商売の起源であるなら、売り手も買い手も、双方どちらも、モノとモノとを交換する、という同じ行為であるからです。商売の起源である交換行為が、いつどのように始まったのか。条件としては、交換するモノが有る、ということです。交換するモノが有る、ということは余剰物が有る、ということで、余剰生産物が有って初めて交換行為が成立するのです。物々交換が成立するためには、モノを相互に交換する両者が、提供するモノと入手するモノとが同じ価値を持つ、等価であると認め合うことで成立します。物々交換は等価交換が原則なのです。
 余剰生産物は生産の拡大によって生み出されました。生産の拡大は、衣食住という人間が生存するために不可欠な三大要素を中心に、不断の技術革新によって実現されたのです。しかし次第に生産が拡大し余剰生産物が増大してくると、モノを交換するのに汎用性のあるカネ(貨幣)をもってするようになりました。貨幣経済の出現です。貨幣経済が進展すると、モノを売ってカネを手に入れる人と、カネを払ってモノを買う人と、売り手と買い手がハッキリ別れます。しかし貨幣経済による売買であっても、等価交換という原則は不変です。売り手と買い手の間で、モノとカネが等価であると合意することで売買が成立するのです。
 売買が売り手と買い手との合意に基づいて成立するために重要なのは、正しい商品情報の提供です。なぜなら買い手は、モノとカネが等価であることを判断しなければならないからです。しかし誇大広告、産地偽装、不当表示など、買い手に誤った商品情報を故意に提供する商売は、商売の歴史と同じ程度に跡を絶ちません。「商鑑」に照らすと、商売の極意は、ウソをつかない、ということに尽きます。商売で、してよいことと、してはならないことは、実にハッキリしているのです。
三木 久雄

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