2001年4月から12月に、毎日新聞に掲載紹介された元町周辺の歴史や出来事を紹介しています。
無縁仏供養の多宝塔完成
約40年前、神戸元町商店街から発掘された約200基の五輪塔がまつられている神戸市北区有野町唐櫃・古寺山の墓苑に、
同商店街などの寄付で多宝塔が完成した。21日に落慶法要がある。
出土した五輪塔は安土桃山時代、花隈城主の荒木村重が織田信長に謀反して戦った際に戦死した将士らの石碑とみられ、
商店主らは元町五輪塔無縁仏奉賛会を結成して供養している。
加川勉さん(76)は結成当初からのメンバー。
土砂崩れでお参りのバスが行く手をさえぎられたり、
阪神大震災で塔が無残に倒れたりしたこともあるが「たった一つの石ころにも先祖の魂がこもっている」と供養を続ける。
「親や先祖をまつることは結局、自分や家族、人様を大切にすることになるのです」と話す。
加川さんは金沢出身。1950年に元町4丁目商店街で花店を開いた。
花をいったん店頭に並べてから金沢の弟の店へ送ることで次々と新しい花を仕入れ、
「よく売れるらしい」と評判になり、得意先をつかんだ。
最近の商店街の停滞には「必ず立ち直る。持ちこたえる粘りが勝負です」と語る。
◆元町点描29回目 2001年10月20日
毎日新聞掲載記事の転載