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夢街道
明治維新直後のお触れ 掃除
元町、という地名が登場するのは明治七年の五月である。以来、町名の根拠は、はじめにできたまち、もとのまちということになっている。
明治維新直後のお触れ 掃除
2007/03/01
夢街道
神戸が開港した。外国人が、公然と居留するまちになる。見栄も要し、体裁も注意すべき神戸となれば、衛生上、清潔を貴ばざるべからず、となる。
当時の道路は、修繕はなはだ不十分にして、西走水より東、神戸に及べる市街の両側人家の軒下には、単に土地を低めたるままなる一条の溝ありて、しかも破損にまかせたれば、降雨一度おこれば泥水たちまち往来に流れ出す、というありさまである。
役所は、神戸市街の掃除は、東の鯉川より二つ茶屋村境迄、神戸村をして、神戸村境より宇治川迄、二つ茶屋村をして、走水村一円は同村をして請け負わせた。が、役所の期待通りとはいかなかったようである。
明治二年六月、兵庫県はものものしい道路掃除の規則を布達した。
道路掃除がすておかれているのはあい済まぬことで、地方の役に注意しているが、道路の規則が定まるまでは、従来、定められた道筋の掃除はもちろん、持ち場のきまっていない場所は、もよりの町村が公平に行うよう、左記の六条にわたる取り決め通り掃除すること、とある。
第一条 風雨による障害発生のあるなしにかかわらず、掃除うけもちの場所は三ヵ月に一度は掃除すること。
第二条 風雨の後はかならずその持ち場を掃除し、水たまりができれば左右の溝へ流して水たまりをなくすようにすること。
第三条 風や雪で倒れた並木の樹木は役所からでむいて処置するが、とりあえず通行の邪魔にならないよう片付けること。
第四条 左右に溝のない道は、両ふちを低くして雨水が流れるようにすること。
第五条 掃除を担当する丁名と範囲を書いた標識を建てること。
第六条 道路ちかくまで田畑にするため樹木の根を痛めるようなことをしてはいけない。右の通り堅く守ること。掃除をおこたるとこあれば、巡回の官員から申しつける。
さらに明治五年八月には、神戸港の道路掃除規則を設けた。
町の大きさに応じて町々にゴミ箱をおく。毎朝四時から六時、ひる十二時、夕方三時から五時のあいだに清掃会社により回収させるので、ゴミはすべて桶のなかへ入れ置くこと。決められた時間には家店先往来のゴミ屑果皮あれば速やかに掃除するように。ただし両隣に町があるときは往来の中央まで、往来の先に家がなければ地先まで掃除すること。空き家があれば、両隣で掃除すること。俵物や荷捌きをしたあとのゴミはすみやかに掃除すること。右のこと固く守ること、実行しない者には罰金として一朱取り立てる。ただし空き家の場合は、両隣から罰金を取り立てる。
明治六年二月。市街の掃除等閑に付するをもって、本港へ布達して曰く。
街上牛馬糞朝昼夕三度掃除するようかねて達しおいたが、とかく等閑になるのは持っての外、これからは家々軒前不潔なきよう、一日三度に拘わらず時々注意掃除するよう、そのまま捨て置いたときは過料を申し付ける、とある。
流入する人口の増加で、新住民への徹底もままならなかったのであろう。
岩田照彦
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