神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

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元町、という地名が登場するのは明治七年の五月である。以来、町名の根拠は、はじめにできたまち、もとのまちということになっている。

鈴蘭灯(元町デパート)(7)

鈴蘭灯(元町デパート)(7)

 神戸ではじめての六層楼の元町デパートは、大正十四十月一六日落成式をあげ、翌十七日開業した。
 資本金百万円、社長は地元の井上弥太郎である。
 営業方針を一流専門家、生産者より直接産品の託送をうけて販売するとした。一流専門家とよぶ販売主は、問屋を意味するものだ。出品者の大多数が京都や大阪の問屋筋と一部の神戸商人である。元町デパートは、問屋や生産者の商品を集めて小売する総合ビルディングといってよい。販売品の価格についても、問屋小売生産地その他一般市場の相場を参酌し常に市価以下の値段を以て需要者に供給する方針ということからも明らかだ。販売からビル管理まで、元町デパートは25歳以下の男女五一〇名を採用してのぞんだのである。元町デパートの全体は次のようなものだ。
 一階入り口で、まず下駄をぬぎ下足番担当に預け、引き換えに下足札を受け取る。泥や砂などつかないきれいな履物であっても、道路を歩いてきたものは収容される。
 一階の売り場は商品券、洋杖、靴、「レデーメード」、銘茶、下駄、傘、メリヤス、雑貨、化粧品、レース刺繍品、和洋菓子、帽子、食料品、羅紗毛布類がならぶ。
 二階は呉服類一切、婚礼調度品。元町デパートとしての顔になるフロアだ。
 三階には文房具、額縁、玩具、糸、鞄、旅行具、細紐袋物、足袋、肩掛け、洋傘、小間物、半襟、子供服、貴金属 時計 美粧室と、生活をたのしむ商品群を用意した。
 四階は金物、刃物、錫器、敷物緞通、陶器、漆器、風呂桶、花筵類、食料油並に石油厨爐、和家具、洋家具、京堆木、籐製品、瓦斯会社製品など、暮らしに密着した製品が勢揃いする。
 五階は美術部、食堂、文化人形、電気、ラジオ、和洋楽器などで文化フロアの趣である。
 六階は各種商品特売品売出と季節物の販売フロアになっている。
 屋上は園芸、庭、小動物などだ。
 自慢のエレベーターで一気に地下へおりると、元丸みやげ、玉子、普通塗物、塩肉、台所用品、牛豚肉、鮮魚類、乾物雑穀、小菓子、八百物一式、白米類、鳥肉等がならぶ。
 十月十七日、屋上ではミヤザキ音楽団の演奏があり、六階フロアではキネマの展覧会を開いてにぎやかに開店の日を盛り上げ、神戸又新日報紙面でこうあいさつした。

 当市に於ける交通、購買の中心地たる元町の咽喉を扼する弊館は設備の完備、賞品の充実と相俟って神戸唯一の百貨店としてご期待に副ふべく専心努力致しております。何卒今後ともご愛顧の程御願申上げます。
岩田照彦
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