神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

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元町、という地名が登場するのは明治七年の五月である。以来、町名の根拠は、はじめにできたまち、もとのまちということになっている。

明治15年の6・5丁目店舗群

明治15年の6・5丁目店舗群

 明治十五年十一月に出版された『豪商神兵湊の魁』という本がある。神戸と兵庫に集まってきた店舗(豪商)のうち、主だったものをまとめたものである。編集出版人は垣貫與、売捌所は神戸相生町東詰と大阪府高麗橋二丁目に店をもつ熊谷久栄堂。熊谷久榮堂を通じて大阪と神戸で同時発売したのだろう。
 内容は、タイトルにあるように神戸と兵庫の豪商案内である。さしずめ鉛筆画の趣で店舗の全景や、その前で積み込みする風景、客人のようすなども取り入れて、当時のにぎわいぶりを描いている。その間に、店の名前と住所だけの紹介もあり、中には住所のない店舗もある。
 明治七年五月、いままで籠や馬、船に頼っていた大阪・神戸間に鉄道が開業して、わずか一時間十分で行き来できるようになっている。神戸には、居留地と隣接する元町通に、大阪にはないハイカラなものが並ぶ。一日を楽しむ店の情報が詰まっている。同書が、はじめに神戸の店を取り上げ、後半に兵庫の店を紹介しているのも当時の本を求めるひとの心理をついた編集であったろう。同書をふところに、大阪から神戸へ、まちあるきのための草分けのような役割を果たしたのではないか。
 同書に掲載された元町通の店を案内しよう。

 六丁目
  加藤政徳・代言人
  布袋屋・洗湯業
  松本善七・建具商
  若林良助・銘酒商
  玖山利助・呉服商
  三宅源四郎・諸金物商
  橋本利助・下駄所
  若村屋・琴三味線商
  松山常吉・砂糖干物商
  東京清水谷商社支店・西洋酒問屋
  関門月下亭・牛肉商
  高田源與門・和漢珍器小道具所
  森本與助・陶器商
  寶井文治郎・汽船乗客荷物扱所

 五丁目
  八百熊・青物商
  平岡利助・めん類所
  勘右衛門・大工職
  今井太左衛門・油尺桝衡商
  田中平治郎・西洋反物(羅紗)
  丹波謙蔵・西洋小間物
  丹波良蔵・西洋反物敷物
  内山菊松・散髪床
  山中常次郎・汽船乗客荷物扱所
  松井としよ・汽船乗客荷物扱所
  武蔵屋祐五郎・洋服仕立所
  林儀助・東京小間物所
  茶利・酒おろし/こうり所
  松村喜兵衛・古道具所
  今井善兵衛・官許升量製作所
  新宮屋・呉服太物所
  おふく饅頭・饅頭商
  橘観光堂・西洋薬種
岩田照彦
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