神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

元町、という地名が登場するのは明治七年の五月である。以来、町名の根拠は、はじめにできたまち、もとのまちということになっている。

新聞広告紙面に登場した店舗群

新聞広告紙面に登場した店舗群

 鈴蘭灯建設に積極的なのは、どんな店々だったか。協力金を拠出する義務のあるのは元町通(商店街)に面した店に限られる。鈴蘭灯が完成したとき、それを記念して神戸市内の日刊二紙が広告を募集した。鈴蘭灯設置に指導的な役割を果たしたかどうかは別にして、出稿した店は鈴蘭灯の明かりを受ける有力な店であり、鈴蘭灯完成を機に、自店の営業拡大を期待した店舗である。広告掲載店を紹介する。
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 大正十五年十一月十七日、鈴蘭灯の図案に「元町通の一大美観/照明灯建設記念」の文字を入れた神戸新聞全面広告に登場する店舗群は次の通りだ。
 一丁目は、内外新刊書籍雑誌を販売する合資会社川瀬日進堂書店。二丁目には御菓子司常盤堂支店がある。四丁目には老紳士も若紳士もと誘う片山の服、ベンケイ印の時計宝石貴金属製品美術品装飾具のイズミヤ時計店。五丁目は太田洋品店、博多屋、書籍雑誌の宝文館、愉快なる娯楽、写真が高尚なる趣味とうたう安井写真機店。六丁目は、子供用から学生用、運動靴、登山靴、実用靴、スリッパや付属品までそろえたマルヤ靴店、商店名で扱い商品が明快な山本メリヤス店、文房具と事務用品の三七十屋。大型店では小橋屋呉服店、三越呉服店、大丸、十合呉服店がある。
 大正十五年十一月十九日、「元町の不夜城/照明灯の建設」をうたう神戸又新日報に登場するのは、一丁目に川瀬日進堂書店、二丁目に常盤堂支店に加え千秋の契を寿ぐ御婚礼の御写真は是非当館へと呼びかける市田写真館。三丁目はノートブック、花札、トランプ、アルバム、レターペーパー、ヱハガキを扱う栄屋エハガキ店、四丁目には老紳士も若紳士も片山の服とイズミヤ時計店。五丁目は博多屋と太田洋品店、宝文館、そして常連大型店の小橋屋、三越、大丸、十合呉服店。
一頁全面ではないが大正十五年十二月二日、四分の三頁を使って「照明灯竣成記念大売出し」の見出しで神戸新聞が広告を集めている。二丁目にショール大売出しの京阪屋、宝飾の粋・金銀器の精を集めた山下甚吉商店、蓄音機の特価大売出しをうたう岡本洋行、キリンビールの明治屋神戸支店。三丁目は岸田式救急薬匣のほていや薬局、御注文品破格提供の奈良山洋服店がある。四丁目には責任を思んずる漆器の浪花屋漆器店、五丁目には高級既製品各種をそろえた宮北洋服店、半ゑり・小間物のゑり卯、元祖長崎カステイラの長崎屋本店、新型御草履はき物各種に新傘足袋流行品を揃えるますや履物店、支那火鉢大売出しの珍産商会、羽子板雛人形武者人形と季節の人形を揃えたなかや玩具店、事務・製図・学校用品の土橋紙文具店、めいせんやの牧野呉服店、書籍・雑誌の宝文館。六丁目には電器具・硝子・ラジオの大西六藏、天津甘栗と落花生の元町甘栗屋、清島玩具店、時間の良く合ふ時計・最も安く売る店のマサヤ時計店、水道など設計工事請負の宮永製作所神戸支店、洋酒・洋食料品・缶詰問屋小西神戸支店の顔ぶれだ。
 鈴蘭灯完成に、一段の飛躍を期待した店々である。
岩田照彦
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