神戸元町商店街 KOBE MOTOMACHI SHOPPING STREET

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MOTOMACHI MAGAZINE MOTOMACHI MAGAZINE 元町マガジン

元町、という地名が登場するのは明治七年の五月である。以来、町名の根拠は、はじめにできたまち、もとのまちということになっている。

元町商店街の組織(3)

元町商店街の組織(3)

 昭和十二年一月十五日発行の神戸又新日報に、小売商の挺身隊 横の百貨店 二月一日店開き、の記事がある。元町商店街独自のものではないが、神戸市内商店街に歩調を合わせた元町商店街の動きとして紹介する。
 記事の内容はつぎのようなものだ。
 大資本の百貨店に対抗するため、神戸市内の商店街があつまって東洋百貨サービス株式会社を設立した。出資者は、元町通商店街のほか大石、水道筋、春日野道、小野中道、三宮、多聞通、有馬道、新開地、御旅筋、西宮内町、西新開地など、神戸市内重要商店街とされる中の信用ある一流商店の加盟店一三〇店。当時、元町商店街でも三百を超す店が登録されているから、商店街の規模によって参加店の数にバラつきはあるだろうが、元町からの参加店舗は、わずかな店にしぼられたことが想像できる。
 取締役社長に吉田喜三郎氏(現5丁目商店街ヨシダ店主・吉田喜代一氏の祖父)、専務取締役に柚久保安太郎氏、役員は各商店街の有力店主で構成した。
 サービスの内容は、入会、申込金、会費は一切不要。会員資格は、信用第一として市内に所在する官庁、公営学校、病院、諸会社、銀行に勤務し、ひとつの勤め先で世話人のいる十人以上の団体であること。この条件をそろえて加入を申し込むと、サービス会社との間でクレジットが設定される。記名の会員券が発行され、サービス会社加盟店舗に会員券を提示すると、現金の手持ちがなくても買い物ができ、一店一回五円以上は二カ月、十円以上は三カ月、五十円以上は五カ月の月賦サービスもできるというシステムだ。
 開業時、四月十日まで五円以上買い物をした人には松竹座招待券抽選券と記念品を贈呈、五十銭以上には補助券を発行して十枚ごとに抽選券と引き換えるほか、一時払いは三分引きのサービス。記事は同社の収益構造には触れていないが、配当の意味で参加店舗には売上成績により、適宜サービスする「至れり尽くせりプラン」の触れ込でスタートした。同社の成果を明らかにする資料はないが、百貨店に対抗するため、神戸市内の商店街で、初めてクレジットが導入されたのである。
img_120901.png それから十五年後の昭和二十七年、元町商店街は、復興発展のため組合員一五〇店中八〇店が加盟して、中小企業協同組合法に基づき設立した「協同組合元町商店会」がチケットによる月賦販売にのりだした。同組織は昭和三十二年、大阪通産局長より経営合理化優秀組合として表彰される。が、競合事業の続出をうけ、組織強化のため昭和三十三年神戸クーポン(株)を設立、社長に近藤常吉氏、常務取締役に片山沖次氏が就任した。元町商店街独自の月賦販売会社である。その後、大資本のクレジット会社が林立、昭和四十五年、営業権を近畿日本信販会社に譲って神戸クーポン(株)は解散した。
岩田照彦
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